Come back !! じいちゃん

ひと段落した後、僕は部屋に無造作に置いたガレリオの人形を手にとるの自分の部屋に戻って行った。
　
「…君、魔術師の傑作なんだってね？何か出来ることあるの？」

返事はない。
　
人形はただまっすぐに前を見つめていた。
　
「そりゃそうか。何してるんだろ。」
　
どうかしてる、少しでも何らかの奇跡を期待するだなんて。
　
でも、そんな奇跡を起こす術を何かしらふるまえそうなそんな気品をもつ人形。
　
期待せずにはいられなかった。
　
「名前。なんて言うの？ガレリオは違うでしょ？まさかベタな『バロン』じゃないよね。」
　
すると、声が聞こえた。
　
「おしい。」
　
「え？やっぱり？」
　
「イール＝ツバロン伯爵じゃ。」
　
「そうなの？じいちゃん…。」
　
じいちゃん？
　
そこに、声のする方を見ると確かにそこにいる。
　
一昨日死んだばかりのじいちゃんが。
　
「いや～、自分の葬儀をこんなに豪勢にしてもらえるとは思わなんだぞ。」
　
「は？じいちゃん死んだんじゃ？」
　
「陽一、わしへの弔辞よかったぞ。さすが長男じゃ。」
　
足がある、姿も普通の人と変わりない。
　
だけど、だけど。