夜光虫
「・・・言えるわけないじゃない。果歩のお父さん、県議会議員なんだよ。来年選挙もあるし・・・」


あたしは震える声で答えた。


「県議会議員だろうが何だろうが関係無いじゃない。親が黙ってれば誰も分からないわよ」


「それはそうだけど・・・」


「普通のカップルが同棲する時だって親には言うでしょ?それとも親に嘘をついて一緒に暮らすつもり?」


「それは・・・」


あたしは言い淀んだ。


「お母さんは許しませんよ。もし同棲したいのなら、果歩ちゃんのご両親のどちらかでもいいから言って許可を貰って」


「無理だよ・・・」


「安心して。お父さんには黙っててあげるから」


母はそう言って笑顔で部屋から出て行った。
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