夜光虫
保は釣具店の営業マンやった。


年はウチと同じ25歳やった。


そういう意味でも気が合った。


「マリアちゃんは彼氏おるん?」


「おらんよ」


これは決まり文句やけど、嘘じゃなかった。


ほんとに彼氏はいないもん。


彼女はおるけど。


「高城さんは彼女おるん?」


「おらん。保って呼んでや~」


保は5分刈りのがっちりした陽気な男やった。


保は水割りを一気に飲み干した。


そして保はウチのことを気に入ってくれたみたいで、たまに同伴してくれるようになった。
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