夜光虫
睦美さんは必死で否定した。


オレにも水筒を置いてきてもらった責任があるので、


「睦美さんはオレの分も水筒置いてきたから遅くなったんです。睦美さんはそんなことするような人じゃありません!」


と必死で庇った。


それでも睦美さんへの疑いは晴れず、同僚からは冷たい扱いを受けていた。


帰りの車の中で睦美さんがポツリと、


「私、もう仕事辞めようかな・・・」


と呟いた。


「そんな・・・。睦美さんやってないんでしょ!?だったら何でそんなこと言うの?」


オレは悲しかった。


そして自分の責任を強く感じていた。
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