夜光虫
30歳で女性の管理職というのは異例の大抜擢だった。


私は自分で自分を誇らしいと思い、仕事が楽しくてたまらなかった。


次に目指すのは販売促進部を統括する部長だった。


私にはその頃付き合っている彼氏がいた。


大学の同期で、今は愛知県で自動車メーカーの営業をやっていた。


その彼から突然、「結婚して欲しい」と言われた。


私達は結婚を前提に付き合っていたし、もう30歳だ。


プロポーズされても当然だった。


彼の会社も私の会社と見劣りしない位大企業だった。


でも、もし結婚することになったら仕事を辞めて愛知に行かなければならない・・・。


私は、私が辞めたら次は誰が課長になるのか気になって仕方がなかった。
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