夜光虫
私は年末に山形の実家に帰省した。


雫は親にも親戚にも会いたくないみたいで、帰省しなかった。


「久しぶり。元気してたかい?」


母が出迎えてくれた。


私はこたつにあたりながらミカンを食べていた。


「雫さんは帰って来なかったの?」


ドキッとした。


「う、うん。何か仕事が忙しいみたい。課長だから・・・」


適当にごまかした。


「雫さんって何歳?」


母の質問は続く。


「35歳だよ」
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