夜光虫
「えっ、誰なのその人?」


「一緒に住んでる雫・・・」


母が凍りつくのが分かった。


私達の間にしばし沈黙が訪れた。


「だって雫さんって女じゃない。付き合うなんて無理でしょ」


母がやっとのことで口を開いた。


「でも、付き合ってるんだもの・・・」


「嘘だろう!?嘘だと言ってよ・・・」


母は取り乱し始めた。


私はもう後に引けなくなっていた。


「だって雫は大企業の課長だし、都内にマンションも持ってるし、何も不足は無いじゃない!ただ女だってだけでしょ」
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