夜光虫
あれは冬にバンドの4人でスノボに行った時だった。


夜は自分と美弥の部屋で飲み会になった。


美弥は二年でベースを担当している。


自分と陽菜はデジカメの画像を二人で確認していた。


「真由ちゃん派手に転んでる~」


「ホントだ~」


自分達はクックと笑った。


真由というのは自分とタメの子でボーカルを担当している。


軽音部では先輩後輩関係なく、お互いを名前で呼び合っていた。


「これ見て、これ見て~」


そう言う陽菜に合わせて画像を見ると、予想以上に顔が近付いた。


自分だけでなく、陽菜もそれにドキッとしたようだった。


陽菜の茶髪のおかっぱ頭からは、シャンプーのいい香りがした。


それが陽菜を意識しだしたきっかけだった。
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