夜光虫
「いつか結婚したいね」


と言って克己がペアリングをくれた。


高校二年のクリスマスだった。


もちろんあたしもそう思っていた。


この愛は永遠に続くと思っていた。


高校三年になるとお互い受験勉強で忙しくなった。


そしてお互い合格し、あたしは地元の国立大学へ進んだ。


克己は薬剤師を目指していたので、宮城の大学の薬学部へ進んだ。


あたし達は遠距離恋愛になった。


最初はメールや電話で連絡を取り合っていたものの、次第に週に一回、月に一回とその数が少なくなっていった。


そして自然消滅のような形になった。


あたしは克己から貰ったペアリングを外した。


また誰かとペアリングが出来たらいいなと思いながら・・・。
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