ロボット少女
校門についた頃に、平然を装って何も言わず、鞄をおいて帰ろうとしたら、
「待って。」
川瀬があたしの手を掴んだ。
もう、どうしようもなく怒りが立ち込めてきて…
「いい加減にしてよ!」
と、一言怒鳴って手を振り払い川瀬から逃げるように、海岸の堤防を歩いた。
急に、川瀬が走ってきて、私の肩をガッチリつかむ。
嫌だ。私は拒むように身を振り払おうとしたけど、びくともしなかった。
川瀬は私の瞳を見つめて、話始めた。
「いつも君の目の奥は、笑っていない。どこか、冷たい。君はきっと、もっともーっと温かくて優しい人なのに。ねぇ、なんで?人を嫌うの?避けるの?自分を守っているの?」
そんなこと…
不意に涙が零れた。
なんで……?
止まることなく、流れ続ける涙。
川瀬はびっくりしたように、私の肩を掴んだ手を放した。
自分自身でも、分からなくて。
――あれ?どうやって、笑うんだっけ。どうやって、涙を止めるんだっけ。――
何もかも分からなくて。
ただ、立ち止まって涙を流し続けた。
「俺に話して。」
そんな優しい顔をして、言わないで。
触れないで。貴方に触れてしまいそうになるから。
私は、何も言わず
ただただ走って、川瀬という存在から離れようとした。
だんだん、小さくなる川瀬。
これでいいんだ。
私は、川瀬が見えなくなるまで必死で走った。
私は、嬉しいよりも
なによりも
………怖かった。