【短編】或るOLの憂鬱~セクシャルハラスメント


「それは、レイプだよ」


そう言ったのは、大学時代よく通っていたバーのマスターだった。


就職の内定がなかなか取れず、憂さ晴らしにバーのカウンターで飲んだくれていた時に、酔いにまかせて高校時代の体験をマスターにぶつけたら、そのように言われたのだ。


「わたしも合意していたのに、レイプなの?」


酔いが回ってくにゃくにゃになりながら、マスターにそう尋ねると、


「君にとってそれが苦痛でしかなかったのなら、それは合意のうえでの出来事にはならないよ」


と言った。


そして、


「愛情、感じなかったんでしょ?」


と。


わたしはこくりと頷いた。

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