【短編】或るOLの憂鬱~セクシャルハラスメント


わたしにとって、マスターの言葉は目から鱗だった。


ずっと、意思の弱かった自分が悪かったのだと、自分を責めていたからだ。


『レイプ』という言葉が自分にあてはまることに動揺したが、自分は被害者だったんだと認識した途端、少し楽になったような気がした。


「本当に大切な女性なら、簡単には触れられないよ。壊したくないもの。少なくとも僕はね」


マスターが、穏やかな笑顔をわたしに向けた気がした。


しかし、次第にマスターの顔はぐにゃりぐにゃりと歪み、渦を巻いて、そして闇になった。

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