【短編】或るOLの憂鬱~セクシャルハラスメント
ひとしきり叫び終えると、胸にぽっかりと穴が空いた。
何かが削げ落ちた。
がばりと布団から出て、わたしは洗面所に向かった。
わたしの顔が鏡に映る。
わたしは、能面のような顔をしていた。
淡々と身支度を済ませ、午後から出勤し、飄々と職場に顔を出した。
「大丈夫?」
青白い顔をしたわたしを見て、同僚が心配そうに声をかける。
「大丈夫」
わたしは力なく笑った。
「遅くなりました」
誰に言うでもなく、独り言のように呟いて、頭を下げ席についた。
斜め前にいる主任にちらりと目をやる。
主任はわたしの視線に気づいているのかいないのか、黙々と仕事をこなしていた。