【短編】或るOLの憂鬱~セクシャルハラスメント


そんな調子で、わたしは無難にセクハラ研修をこなした。


最後に、研修担当がセクハラを受けた際の相談窓口について説明をしてくれた。


わたしは思わず鼻で笑ってしまった。


そんなところに電話をしたら、また一から嫌なことを説明しなければならないじゃないか。


思い出すだけで吐き気がするのに、わざわざ自分から過去の傷をえぐるようなことはしたくない。


だから、問題は表面化しないのだ。


そして、男が思うより、傷ははるかに深いのだ。


わたしは研修を終えると、レジュメも相談窓口案内も、くしゃくしゃに丸めて、ゴミ箱に捨てた。






fin

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