【短編】或るOLの憂鬱~セクシャルハラスメント
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あの時。
主任に呼び出されたわたしは、時間外に書庫へ出向いた。
地下にある書庫は薄暗くひんやりとしていて、あまり気分のいい場所ではない。
書庫の鉄の扉を開けると、主任が腕まくりをして何かを探していた。
「ああ、片桐さん、すまないね。残業させてしまって」
主任は、申し訳なさそうな顔をわたしに向けた。
「いえ」
わたしが軽く微笑むと、
「これの平成17年版を探してほしいんだ」
と、わたしに書類を見せた。
「処分はしていないと思うんだけどなぁ」
と呟きながら、主任は綴りをチェックしている。