†穢れなき小鳥の殺し方†
俺が投げ捨てたスーツを和香はハンガーに。
いつもなら俺はこのままベッドにダイブ、
なんだが、今日は眠ることすら勿体無い。
だから、
「コーヒー」
「えっ?」
「入れろっつってんの」
俺がそう言うと和香は戸惑いながらも「はい」と答えて湯を沸かし始めた。
そしてマグカップを俺の前に。
「どうぞ」
口の端だけじゃない。
彼女の手には猫にでも引っ掻かれたような赤い筋。
絶対、猫じゃないけどな。
「殴られたのか?」
問いかける俺の声に和香は傷のある手で頬を隠して「いいえ」と答える。
「ちょっと、転んで・・・・・・」
「その手も?」
そう聞くと和香はその手をギュッと握って、
「はい」
と静かに答えた。