†穢れなき小鳥の殺し方†

大通りまででてタクシーを拾う。

開けられたドアから体を滑り込ませ、行き先を告げる。

走り出すタクシーの中で俺はやっと息をついた。


・・・・・・って、

ちょっと待て。

俺、家に鍵かけてねぇよな?

いや、和香が家に居たな?

勿論合鍵なんて渡してない。

ということは――、


「マジかよ」


小さく呟いて大きなため息を吐き出す。

盗まれて困るものがないとは言え、気分はよくない。

だからと言って引き返すなんて選択肢は用意されておらず、


「はぁ」


俺はもう一度大きなため息をついた。

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