†穢れなき小鳥の殺し方†
「あの、コーヒー入れましょうか?」
「馬鹿か。寝るんだよ、コーヒーなんか飲むわけねぇだろ」
「あ、すみません」
こいつは馬鹿なのか偉いのか。
「あの、では帰りますね」
和香はそう言ってマフラーを首に巻き鞄を持ち上げた。
帰るって、今深夜2時だぞ?
「・・・・・・どうやって?」
思わずそう口にした俺に和香は「えっ?」と驚いた。
いや、和香以上にそんなことを口にした俺自身が――。
「いや、もう電車もバスも動いてねぇだろ」
焦ってそんなことを言うと、和香は納得したような顔で、
「タクシーで帰りますから」
と、ごく真っ当な返事をした。
でも。
「・・・・・・こんな時間、そこの通りでタクシーなんて捕まらねぇよ」
「えっ?あ――」