†穢れなき小鳥の殺し方†

和香も俺の言葉に納得したのか、少し心配そうに窓から外を眺めた。

そして、


「大丈夫です。少し歩けば多分――」

「ってか、お前の親、心配しねぇの?」


思わず俺の口から出た台詞に驚く和香。

いや、それ以上に言った俺のほうが驚いた。

咄嗟に口をふさいだが『腹水盆に返らず』

俺が和香から視線を逸らすと、


「心配なんて・・・・・・、

 父も母もあたしには興味ないですから」


和香はそう口にして、薄く笑った気がした。


――確かに。

遙香は娘がどうしていようが興味なんて無いだろう。

だけど、父親も?

傍から見たら幸せそうな家族も、すこし中を覗けば違うらしい。

・・・・・・どうでもいいけど。


「それじゃ――」


和香は首から落ちそうなマフラーを結びなおして・・・・・・。

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