†穢れなき小鳥の殺し方†
「タクシー代は払わねぇぞ」
「えっ?あ、・・・・・・はい」
「それにこんな時間、捕まらねぇよ」
「・・・・・・はい」
なんで俺はこんなことを言ってるのか。
「始発まで居れば?」
「えっ――?」
言ってる自分のほうが不思議で仕方ない。
「・・・・・・いい、んですか?」
「俺は寝るけどな」
「・・・・・・」
「好きにすれば」
「でも、出るとき鍵は・・・・・・」
「こんなボロマンションにドロボーなんて来ねぇよ」
「・・・・・・」
いや、そもそもこうなったのは俺のせいだったな。
だからって俺が責任を感じる必要は全く無いが・・・・・・。
「ほら」
「わっ」
俺の放り投げた鍵がじゃらっと音を立てて和香の手に。
「かけたら新聞受けに入れとけ」
和香は自分の手の中の鍵を見つめて、
「じゃ、朝まで」
そう言ってカバンを床に置いた。
そんな和香を見て、
確かに俺はホッとしたんだ。