†穢れなき小鳥の殺し方†
俺がスーツを脱げば和香がそれをハンガーにかける。
そして、
「おやすみなさい」
和香はそう言ってベッドから離れて行った。
そしてソファに座るのではなく、床にぺたりと座り窓から外を眺める。
窓から見えるのは星の無い夜空と真っ暗な街路。
それ以外何も見えないはずなのに。
「何か見えるのか?」
「えっ?あ――、月が見えます」
そう言われて窓を見ると確かに丸い月があった。
「・・・・・・傷」
俺の声にゆっくりと振り返る。
「治ったな」
「・・・・・・はい」
2週間ほど前から彼女の傷は増えることがなくなり、その傷も綺麗に消えつつあった。
その傷をつけたのは遙香。
遙香からの連絡はもう一切無い。
きっと別の『楽しみ』でも見つけたんだろう。
「あんな女でも一緒に居たいわけ?」