†穢れなき小鳥の殺し方†


俺の声に俯いて、和香は細い指で割れたガラスを拾い始めた。


「・・・・・・父は、一人でも大丈夫だけど」


カチャンと小さなガラス音が和香の声に混じる。


「母は、誰かいないと――」


小さな手の中にとがったガラスの破片を集めていく。


「だから、あたしが」

「どうなってもいいだろ、あんな女」


俺の声に和香はフルフルと首を振る。


「どんなになっても、ママはママだから。

 あたしの事嫌いでもいい。



 ただ、生きてるだけで――」



そこまで口にして、

和香の手からガラスの破片が床に零れた。


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