†穢れなき小鳥の殺し方†
荷物なんてほとんどない。
バッグ一つとスーツが何着かあるくらい。
俺の引っ越しなんてそんなものだった。
空っぽの部屋。
ベランダだなんていうのがおこがましいほどの小さなベランダに出て煙草を銜えた。
この業界に入って無理やり覚えた煙草も、今では必需品。
どんなに値上げされたって辞める気にはならない。
客からプレゼントされたジッポで火をつけて煙を吐き出す。
俺の性格はこの世界に向いてるとは思わないけど、
アルコールに強い体質って言うのはありがたかった。