†穢れなき小鳥の殺し方†

俺の声に小さく震え、ゆっくりと俺を見上げた。

『絶対服従』

和香がどこまでもこの言葉に従うのを俺は知ってる。


殴られたからなのか、それともこの寒さでだろうか?

紫に色を変えた唇が、


「ママの、彼・・・・・・」


真実を告げた。


離婚したのをいい事に、どうせまたホストにでも入れあげているんだろう。

貢いで、家に入れて――。

遙香が和香の事を気にかけるなんてことはありえない。

だけど、相手の男が和香を気にかけることは十分ありえるわけで。


イラついた。


自分は理不尽に和香を蹂躙したくせに、他の男がそれをやるのはムカついて仕方ない。


和香はそんな俺のイラつきなど気づきもせず、唇を動かした。


「思いっきり殴って、家を飛び出して・・・・・・」


合わされた和香の手が震える。


「死んじゃってたら、どうしよう――」


こいつはどちらに怯えているんだ?


苛々する。


そんな状況で相手の事を考えるなんて、


やっぱり馬鹿だ。

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