†穢れなき小鳥の殺し方†

俺は鍵を取り出して、


「お前が殴ったくらいで人が死ぬか」


至極まっとうなことを教えてやったのに、和香は理解できていないのか「えっ?」と声をあげる。

俺はその声を無視して、ドアを開けた。


「で、入んの?」


冷たく言い放つ俺に和香はしばらく固まって、

それから、


「はい・・・・・・」


と小さく答え、よろめきながら立ち上がった。


部屋に入ってもいつもとは違う時間のせいか、所在無さ気にソファの傍で立ち尽くす和香。

俺はそんな和香にもイラついて、感情そのままにスーツのジャケットを脱ぎ捨てた。

和香はその音にビクつきながらも、すぐに拾い上げハンガーに。


「・・・・・・なんでここなわけ?」


逃げるにしたって、もっと他の場所があるだろう?

ここは和香にとって逃げ場にはなりえない。


今すぐにでもこいつを押し倒して体中を調べてやりたくなる。

他の男の跡なんてこの手で消し去って――。



なんてくだらない感情。

それを初めて会ったとき認めたくなくて、

俺は『憎しみ』と摩り替えた。

そして、彼女を思い出したとき、、

『復讐』と言う名目で彼女に近づくことを目的にした。


馬鹿なのは、俺だ。

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