†穢れなき小鳥の殺し方†
俺の親父には投資に対する知識も経験も無かった。
そんな人間が甘言に乗せられて失敗するのはよくある話。
俺から見ても親父は甘かった。
そのせいで経営もうまく行かなかっただけ。
銀行が金を貸さなかったのも仕方の無いことだと、
今なら理解出来る。
だから、
もう止めよう。
今更、どうにもならない。
だから、もう止めよう。
こんなくだらないことは――。
俺は小さく息を吐いて、
「父親に話して迎えに来てもらえば?」
そう言った。
和香は不思議そうに俺を見つめる。
そりゃそうだろう。
今日あったことを話せば和香は父親に引き取られるだろう。
そして、父親が俺と言う存在を認識すれば和香は二度とここにくる事はなくなるはずだ。
でも、
それでいい。
もういいんだ――。