†穢れなき小鳥の殺し方†

その手を振り払いたくて、

足早に道路に出てタクシーを探す。

向かってくるタクシーに軽く手を上げて――


「ママッ!」


突然の声に俺の腕につかまっていた遥香の身体が大きく震えた。

俺もつられてその声のほうへ。

そこには一人の女子高生が立っていた。

紺色のブレザーに緑色のチェック柄スカート。

真っ白なブラウスには真っ赤なリボンが結ばれて・・・・・・。


あぁ、

やっと――



「ママ・・・・・・」


もう一度小さく呼ぶ声は間違いなく遥香に向けられたもの。

遥香の唇は震えて、


「和香(ワカ)・・・・・・」


と彼女を呼んだ。

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