†穢れなき小鳥の殺し方†
俺は振り返った。
「じゃあな、ワカ」
その声に、彼女の視線がやっと俺に向けられて、
「ママを、返して」
「人聞きの悪い。まるで誘拐犯だな」
彼女の瞳に俺が映った。
だけど、
「お願いします」
そう言ってすぐに頭を下げるから、また映らなくなって。
「ショウ!」
タクシーの中から聞こえるヒステリックな声に俺はため息をつく。
「そういうことだから」
俺はそう言い残してタクシーに乗った。