†穢れなき小鳥の殺し方†

 過去


うちはそれなりに大きな鉄工所だった。

社員はパートも入れて50人そこそこだけど。

仕事は特殊なネジを作ったり、溶接で部品を組み立てたり、それこそ大きなものから小さなものまで。

あまり儲けは無かった気がする。

うちの両親の手はいつも油にまみれて真っ黒だったから。

不景気ながらなんとかやってこれたが、円高が進むにつれて仕事量は減っていった。

安価な中国製に押されて減っていく仕事量。

勿論、モノのよさで負けてるはずは無い。

でも『安さ』にはどうしても敵わなかった。


「悪いなぁ。景気がよくなったら絶対声掛けるから」


親父はそう言ってパート社員を全員解雇した。

それからいろんなところに頭をさげて仕事をかき集めたが安くないと仕事は取れない。

けれど仕事がないと金も入らないわけで・・・・・・。


俺も手伝おうとしたが、


「お前は受験生なんだから勉強してればいい。そして、いつか楽をさせてくれ」


なんて笑って俺を工場から追い出した。

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