†穢れなき小鳥の殺し方†

「もう一度、頼みに行こう」


そう口にする父親を俺は冷めた目で見ていた。

どうにもならない。

なるはずがないと思ってたから。

でも、それを口にすることは出来ない。


「翔汰、悪いけど一緒に・・・・・・」


気弱な母親。

『何』もあるはずなんてないのに。

だけど、


「いいよ」


俺は二人について行った。

今日は日曜日だし。

いや、学校があったとしても、もう意味ねぇし。


家を出て車に。

この車も差し押さえられんだろうなって思うと、なんとなく笑えて。

俺は後部座席に座った。

< 75 / 203 >

この作品をシェア

pagetop