†穢れなき小鳥の殺し方†
親父はゴクリと喉を鳴らして一歩ずつ近づいていく。
母親は俺の袖をギュッと握って後ろに立ってた。
「叶さん」
いつもより低く、そして震えた声に3人がこちらを見た。
「・・・・・・誰ですかな」
ごく当り前な返事に親父はもう一歩前に。
「相沢です。相沢鉄工所の」
「・・・・・・」
向こうはその名前を聞いても眉をひそめるだけ。
多分、名前なんて覚えてもないだろう。
融資を打ち切るリストにあった名前なんていちいち覚えてるはずもない。
それでも察したのか、
彼の表情が嫌悪に歪んだ。
「覚えがありませんが、なにか?」
冷たく言い放たれる台詞。
それでも親父はまた一歩近づいて――
「お願いします!もう一度、融資の件考え直してください!!」
土下座した。