†穢れなき小鳥の殺し方†

それからすぐ、

不渡りを出して工場は潰れた。

銀行の取立ては凄まじく、家の中にある家財道具に至るまで『差し押さえ』の札が貼られた。


俺が学校を辞めて働くと言ったら、


「あと少しだ、高校くらいでとけ」


そう言って親父が笑った。


思えばこれが最後の笑顔だったかもしれない。



倒産すればそれで終わり。

なんてことはない。

親戚からも借りていたらしく、


「すみません!絶対返しますからっ」


親父と母親は幾度と無く頭を下げた。


工場を手放すにしても機材の処分や在庫品の整理、

それにこれまで社員への未払い給料の問題、これからの就職。

社員の不満はすべて親父にぶつけられた。

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