前を向いて、恋をして。
四月
*千寿SIDE*
今年の春、私は高校を卒業して町を出た。
なりたいもの、目指すものなんてない。
ただ、今までずっと当たり前だった環境から抜け出してみたかっただけ。
進路も大多数の人と一緒ってのが嫌で、進学校から就職を選んだんだけど、現実は甘くなかった。
部活に入らず、ずっと勉強ばっかりで過ごした三年間。
後先なんて何も考えずに、資格なんて一つも取ってなかったもんだから、一般に思い描くような“企業”の採用枠には指の一本も引っ掛かることは出来なくて。
行き着いたのは、体力勝負に近い介護の世界。
もちろん体力以外にもコミュニケーション力だって要るし、仕事も現場ばっかりじゃないから、事務の能力だって少なからず必要になる。
介護の世界に目指すものがあって、本気で働いてる人だっている中で、何もない自分にあたしは自分で呆れていた。
それでも無理矢理に目標を作る気にもなれなくて、“今”だけの毎日を過ごしていた。
今年の春、私は高校を卒業して町を出た。
なりたいもの、目指すものなんてない。
ただ、今までずっと当たり前だった環境から抜け出してみたかっただけ。
進路も大多数の人と一緒ってのが嫌で、進学校から就職を選んだんだけど、現実は甘くなかった。
部活に入らず、ずっと勉強ばっかりで過ごした三年間。
後先なんて何も考えずに、資格なんて一つも取ってなかったもんだから、一般に思い描くような“企業”の採用枠には指の一本も引っ掛かることは出来なくて。
行き着いたのは、体力勝負に近い介護の世界。
もちろん体力以外にもコミュニケーション力だって要るし、仕事も現場ばっかりじゃないから、事務の能力だって少なからず必要になる。
介護の世界に目指すものがあって、本気で働いてる人だっている中で、何もない自分にあたしは自分で呆れていた。
それでも無理矢理に目標を作る気にもなれなくて、“今”だけの毎日を過ごしていた。