俺様王子の初恋
グイッ、と腕を引っ張りながら
窓際の席に座ると、今度は
エプロンについているネームプレートを
指先で遊びながら
「 あーにゃん、オススメの
メニューとかないの? 」
「 あ・・・? 」
あーにゃん、て・・・
思わず眉間にシワを寄せてしまうと
彼の指先が私の眉間をつついて
”そんな顔すんな”と笑われた。
「 ・・・・私は、ココアが好きです 」
「 甘いの好きなんだ? 」
「 ・・・・それなりに・・ 」
「 あーにゃん冷てぇ 」
他の人たちと違って、私は
接客の指導だとかはあんまり
受けていない。
”地味だからできる”なんて
意味の分からない理由で私は
教室の飾りつけに回されたから。