俺様王子の初恋
「 ・・・それ、やめてください 」
「 ”ご主人様”だろ?あーにゃん♪ 」
思わず、逃げ出しそうになるのを
堪えながら私は軽くお辞儀をして
”スイッチ”を入れた。
「 ご主人様、何になさいますか? 」
「 あーにゃん 」
「 私のオススメでよろしいですか? 」
「 嫌だ 」
メイドっていうのは、なんとなく
礼儀正しいイメージが強い。
教室を飛び交っているのが甲高い
クラスメート達の”にゃん”なんて
鳴き声は私は知らないし聞こえない。
「 何であーにゃんだけ他の子と
接客違うの? 」
「 私は自己流でいいと言われたので 」
思った以上に、”あーにゃん”に
固執する彼に少々苛立ちを覚えながら
再度注文を聞こうと逸らしていた目を
彼に戻した。