俺様王子の初恋
候補者
『 只今より、第一体育館特設ステージにて
コンテストの候補者の発表をします─── 』
あの倉庫に、無意識に足が向いていたけど
その放送とともに、校舎内にいた生徒が
ゾロゾロと体育館に向かって歩き出して
私も流されて、気づけば体育館に着いていた。
「 ・・・一之瀬さん? 」
「 あ、はい 」
「 その格好・・・・まぁ、いいわ 」
私の肩を叩いたのは、一条先生だった。
メイド姿の私を見て首を傾げたけど
すぐに私の手を掴んで、ステージ裏に
向かって歩き出した。
「 ・・・・・あ、の? 」
「 一之瀬さん、悪気はないのよ 」
「 先生? 」
「 ただ、困るあの人の顔が見たくて
仕方ないのよ・・・許してね? 」