俺様王子の初恋
彼は、あんなに堂々と立てるのに、
私は一歩も動けなかった。
”泰雅先輩”と呼べるようになっても、
傍にいることを許されても、
私は地味子で、彼は王子様。
その差は歴然としていて、
それだけ遠い。
─────────だから、離れた。
彼に残酷な言葉を言われる前に
自分から逃げ出した。
私はたった一日で、どれくらい
彼のことが好きなのかを知って
彼と私がどれくらい遠いのかを
痛いほど自覚した。