俺様王子の初恋
戸惑いを隠せずに、人のいない
広い部屋をキョロキョロと
見渡していると、大きなドアが
ガチャリ、と開いて、
「 あぁ、起きた? 」
その隙間から、彼が顔を出した。
制服の彼の手には私の制服。
その片手にはコーヒー。
「 ・・・・・泰雅、先輩? 」
これは、都合のいい夢?
そう思って頬を抓ろうと
手を伸ばすとすかさず先輩の
手が私の手を掴んだ。
「 夢じゃない。コレ飲んで
早く支度しろ 」
「 え、だって・・・ 」
「 事情は後で説明してやるから。
言っとくけどお前も俺も遅刻 」
携帯のディスプレイに浮き出た
時計を見せられて、私は布団に
潜り込んで着替えた。