俺様王子の初恋





「 朝起きたら、お前が俺の横で
  素っ裸で寝てたって言ったら
  お前どうする? 」





それはすごく面白い冗談のようで
面白くない本当の話のような、
今の私にとってはどっちにしろ
いい話ではないことだけは確かで、






「 ゲホッ・・・ゴホッ・・ 」






思わず咽てしまった。
”悪い”と笑いながら私の背中を
さする彼は、”それ”を撤回しない。






「 ・・・本当に? 」


「 いや、まぁ、嘘じゃねーよ?
  朝起きたらお前が裸で寝てた 」


「 ・・・・・意味が、分かりません 」






というか、信じたくありません。
昨日の夜、私は貴方を遠く感じて
”会えない”とさえ思ったのに
朝起きたら案外簡単に会えてしまった。






歴然とした”差”を理解して
”離れなくちゃいけない”と
中途半端な今からも逃れようと
揺らぐ決意を固めたところなのに
神様は余程、悪戯が好きらしい。







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