俺様王子の初恋
婚約者
「 あら、葵ちゃんだけ? 」
「 ・・・はい 」
保健室のドアを開けると
一条先生が私を見て笑った。
「 振り払ってきたの? 」
「 ・・・・はい 」
あの後、保健室まで行くと
言う先輩を”大丈夫です”と
振り払って、走って来た。
途中振り返ると先輩はもう
いなくて、そんな些細なことに
チクリ、と胸が痛んだ。
「 あの・・・ 」
「 なに? 」
「 先生と先輩って・・・ 」
”どういう関係なんですか?”
飲み込んだ言葉は、言わなくても
先生なら理解してくれると思った。