俺様王子の初恋





物凄い形相の彼にニコリ、と
笑顔を向ける佐野くんに
”チッ”と大きな舌打ちをして
彼は私の腰に手を回した。






「 葵に触んな 」






入り口にあったちょっとした
段差に躓いた私は、勢いよく
彼の胸に飛び込んだ。







「 結果が出るまで我慢しますよ 」







”失礼します”
そう言って彼は私を見て
ニコリと笑った。







ゾッ、として、彼にしがみつくと
保健室のドアは閉まり、
再度目を向けると、
佐野くんの姿はもうなかった。









< 183 / 326 >

この作品をシェア

pagetop