俺様王子の初恋
けど、唇が離れて、先輩の指が
濡れた私の唇をなぞった瞬間
先輩の目つきが変わった気がした。
欲に濡れた瞳から、
殺気を帯びた鋭い目つき。
その目が彼女を捕らえると
彼女は楽しそうに笑った。
「 なぁに?ちょっとした悪戯でしょ? 」
「 最初に葵をここに入れたのも
確かお前だったよな? 」
「 高校2年生にもなって彼女がいないなんて
大問題じゃない?だから協力をね? 」
「 は?結局邪魔しかしてねぇだろ 」
二人の会話は、紛れもなく兄弟だった。
悪戯を楽しむお姉さんと、反抗する弟。
今になって気づいたけど、二人とも
目元がそっくりだ。
「 親に反抗してココに来た理由を
作ってあげようと思ったんだけど? 」
「 ふざけんな、クソ女 」
未だに息をきらして、ぼんやりしている私は
完璧に乗り遅れてる。