俺様王子の初恋
「 一条先輩、ちょっといいですか? 」
コンテスト候補者発表の後、
葵を探してステージ裏を
歩いていると佐野が俺に
声をかけてきた。
「 ・・・なに 」
ステージ裏に戻ってすぐ
葵は帰ったのか姿が見えない。
走りだしたい衝動を抑えて
目で葵を探しながら返事をした。
「 余裕なさそうですね? 」
「 ・・・そう見えるか? 」
「 彼女に逃げられちゃったんでしょ? 」
苛立ちを押さえ拳を握る俺は
煽る佐野を睨むと、佐野は
変わらず笑顔のまま俺を見ていた。