俺様王子の初恋
顔が歪んでいくのが
嫌でも分かった。
「 二人とも鍵なんか持っちゃって 」
乾いた笑いを零した佐野を
睨みながら、拳を強く握る。
「 鍵と葵ちゃんを賭けて、
勝負しましょうよ、先輩 」
「 ・・・・お前・・ 」
「 言っとくけど、俺本気ですよ? 」
視線を一度下げて、
再度俺を見た佐野の顔に
もう笑顔はなかった。
「 俺は本気で、あの子がほしい 」
”だから”
壁に背中を預けたままの俺の
目の前まで来た佐野は
にこっ、と笑った。