俺様王子の初恋





顔が歪んでいくのが
嫌でも分かった。





「 二人とも鍵なんか持っちゃって 」





乾いた笑いを零した佐野を
睨みながら、拳を強く握る。





「 鍵と葵ちゃんを賭けて、
  勝負しましょうよ、先輩 」


「 ・・・・お前・・ 」


「 言っとくけど、俺本気ですよ? 」





視線を一度下げて、
再度俺を見た佐野の顔に
もう笑顔はなかった。





「 俺は本気で、あの子がほしい 」





”だから”
壁に背中を預けたままの俺の
目の前まで来た佐野は
にこっ、と笑った。








< 322 / 326 >

この作品をシェア

pagetop