俺様王子の初恋
「 バケツかしてー 」
「 ホースみじかっ! 」
「 おさえててよー 」
女の子らしい高い声が
私の前を行ったり来たり、
楽しそうにはしゃぐ5人。
他校のことは知らないけど
この学園の屋上には手洗い場がある。
ホースを持ったピンクパーカーが
駆け足で手洗い場の方へ
向かっていく。
その後ろをバケツを持った人が1人、
ゆっくり歩いていく。
「 ねぇ?謝って? 」
バラバラに動き出した5人を
見ていたら、黄色パーカーが
首を傾げている。
「 なんで、ですか? 」
「 はぁ? 」
笑いの含んだ声が頭上から
降ってくる。
相変わらず仁王立ちの上級生は
腕を組んで、スッと私の横に
移動した。