俺様王子の初恋
痛く、ない。
目を瞑ることさえ忘れて
呆然と空を見ていたけど
────私、倒れてない。
「 やられっ放しじゃん、葵 」
上から愉しそうに私を見る彼の
足に支えられてなんとか
倒れないでいられた。
彼はポケットに突っ込んでいた手を
出して、私に差し出す。
「 痛っ・・・ 」
「 腕殴られたんだっけ 」
「 え? 」
腕を伸ばそうとして、痛みに顔を
歪めると先輩は私を抱き上げた。
立った途端に足の力が抜けて
ガクン、と膝をつきそうになった私の
腰に手を回して、支えてくれた。