俺様王子の初恋
「 可愛い 」
耳まで真っ赤な私を見て
彼は屈託なく笑ったあと
私の上から退いた。
「 学園祭の準備、頑張って 」
さっきまでの色のついた空気が
彼の言葉1つでがらりと変わった。
彼のジャージの上下を着た私は
私の鞄を持った彼に歩み寄る。
ポン、と頭に手が置かれて
少し雑に撫でられた。
「 待ってるから 」
”ここで”
私に背中を向けた彼の声は
廊下に響いた。
「 はい 」
返事をすると、廊下を歩きながら
振り返った彼が私に鞄を手渡して
頬にキスを落とした。