C'est la vie!



ピ………ピ………ピ……ピ………


すぐ近くで機械音が聞こえた。


それはさっき聞こえた音よりも速度が遅く、随分頼りなげな音に聞こえた。






「零…零………お願いよ、目を覚まして……」





誰かが零くんを呼んでる。


初めて聞く声だったけれど、その声は優しく……そしてとても悲しそうだった。


「零…あんたが守った女の子は無事よ。だからお願い……目を覚ましてちょうだい……」


その声は必死に問いかけている。


「お兄ちゃん……いつもの調子で『冗談だよ。死体ごっこだよ』って起きてきてよ…お兄ちゃん!」


あたしと同じぐらいの年代の女の子の声も聞こえる。


いつもの調子……


死体ごっこ…?


零くん、家でも不思議くんなんだね。









『結城さん。






今度こそ、結城さんを守るよ』









零くんの声が聞こえた気がして、最後に触れた指先から零くんの温かい温度を感じた。






< 104 / 194 >

この作品をシェア

pagetop