C'est la vie!
「だいぶ取り乱しているようですね、クロウさん心の声がだだ漏れですよ」
レイが呆れたように白い目で私を見下ろす。
心の声が…?
は!私としたことが!!
慌てて口を両手で覆うも、レイは気にした様子を見せずに私の元へ歩いてきた。
すっ
またも日記を私の前に差し出し、今度はこざかしい誘導尋問をするつもりもないのだろう、
私を真正面から見つめて、
「日記、お返ししますよ。確かに人の日記を読んだ俺が悪かったです、それについては謝ります」
と素直に小さく頭を下げた。
あっさりとその日記に手を出す気にはなれず、私は目を細めて探るようにレイを見上げた。
「何を―――考えている…?」
私が問いかけると、
「そのままそっくりお返ししますよ。結城さんをどうするつもりですか?」
レイは愛嬌のある目尻を僅かに吊り上げて、私を睨んだ。
やれやれ、怒らせると手がつけられないのは、
―――血筋のせいかね。
私は両手を軽く上げて肩をすくめた。
「どうするつもりもないよ」
ちょっと笑みを浮かべると、レイはそれでも警戒したように眉間に皺を寄せ、
「嘘だ。あなたは結城さんを―――
連れて行こうとしてるんじゃないですか?」
低く呟いた。