C'est la vie!
「私がアスミを?何のために?」
ってかどこに??
この日記にアスミの名前を書いたことは一度もない。“Miss Yuuki”だけで、そこまで結びつけるのは、短絡的じゃないかい?
そう言う意味で私は笑った。
「結城さん言ってました。ヘンリーさんの愛した人は結城さんと同姓同名だって。
だからあなたは結城さんを連れて行こうとしてるんじゃないですか?」
「落ち着きたまえ。私が一体アスミをどこに連れていくって言うんだい」
「あの世ですよ。そうでなければ、結城さんをこの屋敷にずっと閉じ込めておくつもりでしょう?」
レイに言われて、私は目をまばたいた。
「私がこの屋敷に、彼女をずっと閉じ込める?何をバカなことを」
からかうように笑うと、レイは私の座っている椅子の肘掛に手をついた。
ギシッ
乾いた木の軋む音が書斎に響き渡り、レイが一歩私に近づいた。
「結城さんを連れていかせはしない。
何で俺たちがこの屋敷から出られないのかは分からないけど、
彼女はまだ生きてる。俺も―――」
ほう、そのことに―――気付いたか。
私は興味深そうに目を細めて微笑を浮かべた。
レイは私の挑発するような笑みにもまったく怯むことがなかった。
「結城さんの意識がこのままここで留まったら、彼女はもう二度と生き返れない。
結城さんはまだ若いし、あの小さな体で未来をいっぱい抱えているんだ。
幸せなこと、楽しいことがいっぱい彼女を待ってる。
クロウさんには渡さない。
彼女の人生はほかの誰のものでもない。彼女だけのものだ」